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オンラインメディア活用を通してみるカナダの特徴 寄稿:宮原淳

日本の新聞やテレビが伝えるカナダのニュースの量は少ないが、カナダのメディアのオンライン化は世界でもいち早く進んだため、日本にいても最新の情報源として有効なツールになっている。カナダのニュース番組はリアルタイムで視聴でき、地図や年表などの背景を含めた時事問題特集がいつでもアクセスできる状態に ある。

ここでは、主要な英語メディアのふたつを例に、今のカナダが概観できるツールを見ることで、メディアの特徴を挙げてみたい。

CBC

公共放送としての看板報道番組はThe Nationalで、番組ホームページでは一時間番組をそのまま視聴することができる(Latest broadcast)ほか、ポッドキャストで番組内の特集(ドキュメンタリーなど)をダウンロードでき、手広くカナダの動きをおさえるには便利なコンテンツとなる。

 

また、独自制作の大型企画も定評あるコンテンツになっている。カナダの偉人50人を選んだThe Greatest Canadian特集やカナダ史をドラマ化したA People’s Historyなどがあるが、これらは、公共放送として(民放局以上に)、番組の国内制作が求められているという背景があり(具体的な数値で規制されている)、米国をは じめ他国の英語メディアから流れてくる大型エンターテインメントではなく、国産メディア、国内コンテンツを育てようとするカナダ文化産業の特徴が反映され ている。

CBCのホームページのもうひとつの強みは、テーマ別の時事問題特集。カナダの主なニューステーマを一か所にまとめたIn Depthでは、移民、環境問題など重要なテーマが一目でわかり、過去の主要記事、年表、地図などとともに紹介している(その中にある、一週間の主なニュースをまとめてくれるThe week in seven storiesは、週の主なニュースをおさえることができて便利。)

さらに、CBCラジオについては、全国放送、地域ごとに特化したローカル放送ともに、現地で放送されている通りの生放送で聴くことができる

 

Canada.com

このサイトはCBCと対照的に、民放局Globalと大都市の地方紙Vancouver SunOttawa Citizenなど(カナダの新聞市場は、広大な地理、多文化の地域色を反映して伝統的に地元紙が優位に立っている)が、ひとつのブランドのもとに集約されている。

このサイトは、これらの地元紙が伝える情報量を一堂に集めることで他のメディアのホームページと差別化していて、町単位のイベントまできめ細かくカバーされているのが特徴になっている。City GuideEventページが特定地域でのニュースを追うには力強いツールで、例えば2010年の冬季五輪を前に活気づいているバンクーバーのCity Guideでは地元紙ニュースのほかレストランや映画などの街情報も含めて紹介されている。

 

地元密着型の新聞発情報と対極的に全国展開するGlobalの番組は、局の顔であるアンカーマンKevin Newmanによる平日夜の報道番組The Gobal Nationalが、30分番組丸ごとダウンロードできるポッドキャスト、ビデオキャストに対応している。このように、新聞の地元志向とテレビの全国志向がひとつのサイトに同居していることで、canada.comの強みが生まれている。

 

カナダのオンラインメディアは、米国のYahooGoogleなどのポータルサイトカナダ版とも競争にさらされている。canada.comも例外でなく、Yahoo Canadaなどを意識した機能、例えばメールアドレス(XXX@canada.com)を持てたり、グリーティングカードが送れたりする機能(特にCanada Dayなどカナダ特有の祝日は便利)も充実している。

 

以上、代表的なメディアの事例をとって、情報ツールを見たが、これらのオンラインメディアの在り方は、

  • カナダの国内独自コンテンツの制作力を守り、発展しようとする施策
  • 地域色を反映しつつ、国内統合とのバランス
  • 米国をはじめとするグローバルな英語メディアとの競争

など、カナダメディアの特徴や課題が反映されていることがわかる。さらに、これらの要素は、メディアだけでなく、カナダの様々な産業も抱える課題であり、カナダの特徴の一面といえるだろう。

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