HOME▶コラム▶編著書紹介:細川道久編著『カナダの歴史を知るための50章』明石書店、2017年8月刊(関東地区ニューズレターNo.16〔March 2018〕より転載)

編著書紹介:細川道久編著『カナダの歴史を知るための50章』明石書店、2017年8月刊(関東地区ニューズレターNo.16〔March 2018〕より転載)

細川道久編著『カナダの歴史を知るための50章』明石書店、20178月刊

 

 国家や地域を理解するための入門書として定評のある明石書店のエリア・スタディーズ。これまでカナダ関係では、『カナダを知るための50章』、『ケベックを知るための50章』、『現代カナダを知るための50章』、『カナダを旅する37章』が刊行されている。そのエリア・スタディーズのなかに、新たに《ヒストリー》シリーズが加わった。このたび、イギリス、ドイツ、ロシア、スペインに続く第5弾として出版されたのが、本書である。

 50の章のなかにカナダの歴史をどのように織り込んだらよいのか。しかも、できるだけメリハリを利かせるにはどうすればよいのか。多様な地域と民族を抱えるカナダで起きたさまざまな出来事のどれをとりあげたらよいのか。思案を重ねた結果、「世界のうねりのなかで時を刻み、変貌をとげるカナダ」の歩みを、〈総論〉、〈通史編〉、〈テーマ編〉の3部構成に仕立ててみた。

 〈総論〉では、世界史におけるカナダの位置づけ、歴史が繰り広げられたカナダの地勢、さらには、多元的なカナダ社会の特質を扱っている。

 〈通史編〉は、先住民の到来から現在までを「先史時代からフランス植民地時代へ」、「イギリス植民地時代」、「国家的自立への模索」、「第2次世界大戦後の発展」の4つの時期に区切っている。どこに焦点を当てるかでおのずから時期区分の仕方は変わるものだが、本書は政治の流れを基本軸に据えている。オーソドックスともいえる時代区分をあえて採用したのは、これが、カナダの対外的な位置の変化を跡づけるのはもとより、中央に対する各地域・民族(ケベック州や先住民など)の動きを描くには最も好都合だからである。各章の内容は、政治史にとどまらず、社会・教育・文化・法律・経済・外交など多岐にわたっている。

 〈テーマ編〉では、カナダ社会の理解にとって重要な2つのテーマ――移民・先住民と日加関係――を扱ってみた。カナダが多民族社会であることは一般に認知されているとしても、どのような経緯でそうなったのか、歴史を知ることは欠かせないし、日本の読者にカナダの歴史を身近なものに感じてもらうには、やはり日加関係ははずせないからである。

 まず、「カナダ社会と移民・先住民」では、移民(フランス系、イギリス系、ドイツ系、東欧・南欧系、中国系)や先住民がどのような歴史を歩んできたのかに加えて、今日の移民政策や多民族社会について解説している。次いで、「カナダと日本」では、日本からカナダに渡った移民の歩みはもちろんのこと、外交・教育・経済などのさまざまな分野での日加間の交流の歴史をたどっている。

 以上に加えて、〈通史編〉と〈テーマ編〉に関する12の興味深いエピソード――「ヴァンクーヴァー朝日」などなど。それは実際に手に取ってのお楽しみ!――を紹介する「コラム」を設けた。さらに巻末には、「カナダの歴史を知るためのブックガイド」と「年表」を付けた。

 本書の執筆者は、私も含めて27名。いずれも中堅・若手の研究者である。歴史プロパーが専門ではなくても、隣接分野の方々に歴史と結びつけた執筆を、それもできるかぎりわかりやすい解説をお願いした。私の要望に応えてくださった執筆者の皆さんには感謝したい。おかげで、連邦結成150周年というメモリアルな年に刊行することができたし、何よりも、日本のカナダ研究者の層の厚さをアピールすることができたのではないかと自負している。

 各章が基本的に見開き6頁で完結しており、どの章からでも読めるようになっている。しかも、一般の方々や学生に読まれることを念頭においた平易な解説であり、図版・写真を随所に散りばめていて、授業や公開講座のテキストとして活用できるようにも編んでいる。是非とも多くの方々に手に取って頂ければ幸いである。     

細川道久(鹿児島大学)

(関東地区ニューズレターNo.16, March 2018より転載)

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