毛皮交易

西ヨーロッパ人をカナダに駆り立てた要因のひとつは、毛皮動物の存在だった。それは、あたかも南米にスペイン人らをひきつけた黄金にも匹敵する。つまり初期カナダ史とは、先住民と西ヨーロッパ人との毛皮交易の歴史、としても過言ではない。この現象は、「ヨーロッパ文明」のカナダ内陸部への浸透、政治的・経済的版図の拡大にも連なった。毛皮交易隆盛の背景には、西ヨーロッパ社会でのフェルト帽の流行があった。それは、王侯貴族の間で、“地位の象徴”としてもてはやされていた。とりわけビーバーの毛皮は良質で、高値をよんだ。18世紀前半、毛皮はカナダからの輸出量の約7割を占める。そして広大な西部地域を管轄下に置き、毛皮交易に大きな役割を果たしたのが、ハドソン湾会社である。もっとも、近年、動物愛護団体の高まりもあり、1991年には、同社は毛皮販売からの撤退を決め、大英断としてカナダ国内に波紋を呼んだ。

(竹中 豊)

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