言語教育

フランスやイギリスの植民地に始まり、今では数多くの民族が共存するカナダにおいて、言語教育は国家統一のためにも重要な課題である。カナダを植民地としたイギリスは、学校教育を通して住民の言語を英語に統一しようと試みたが、フランスの植民地時代に成立していたフランス系社会の抵抗にあって成功せず、英語社会とフランス語社会の共存は公用語二言語主義にまで発展した。1969年の公用語法制定以降、連邦政府は補助金を出して教育を通して二つの公用語を普及させることに努め、1982年憲法は公用語の少数派の言語教育権を保障している。また、カナダは数多くの移民を受け入れているが、彼らに英語またはフランス語を習得することを求め、連邦政府や州政府は成人移民向けの教育や学校教育を整備している。さらに、先住民に対しても、先住民の言語権を認め、それを継承しながら公用語を第二言語として習得させる取組みを進めている。

カナダでは州に教育行政権があり、学校教育における第二公用語の扱いは州により異なる。義務教育課程において第二言語としての英語またはフランス語を必修と定めているのは7州に過ぎず、さらに州によっては学習開始学年や学習年限が教育委員会によって異なる。そのため、カナダの学校における言語教育が必ずしも英語とフランス語を習得したバイリンガルを育成するわけではない。ただし、英語系学校に置かれるフランス語イマージョン・プログラムは例外である。同プログラムはフランス語を教授言語とした教育により、生徒に英語のみならずフランス語を習得させることに成功している。

カナダでは移民やその子孫を対象とした継承語教育も行われている。連邦政府が1971年に多文化主義政策を採択、さらに1988年には多文化主義法を制定し、各民族が自分たちの言語を維持することが認められたことは、継承語教育の促進に拍車をかけることとなった。ケベック州など継承語教育プログラムを設置した州もあるが、民間レベルにおいても、地域や言語により違いはあるものの、継承語教育は熱心に行われている。

(時田朋子)

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