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ローレンシアン学派

ローレンシアン学派及びスティプル理論は、ハロルド・アダムス・インニス経済史学の、いわば「楯の両者」を構成するものである。カナダの自然環境がこの国の経済発展全体に与えたインパクトを強調する立場が前者であり、インパクトを受けたカナダ国民経済がレスポンスとして「主要輸出産物の生産・販売」という主体的姿勢で対応し、カナダ主要輸出産業発達史が、そのまま、この国の国民経済発展史であることを力説する立場が後者なのである。

「ローレンシアン学派」は、カナダ国民経済発展の主軸がカナダ―アメリカという縦軸にではなく、セント・ローレンス川と五大湖水域とを結ぶ横軸(一方ではカナダ西部の後背地に拡大し、他方ではイギリスを経てヨーロッパ大陸に延長される)にあると信ずる立場である。インニスの高弟の一人であり、インニスの忠実な伝記作家でもあるドナルド・G・クレイトン教授は、この立場を「セント・ローレンス川を、カナダ横断の、東西両地域総合体系確立の商業的・政治的大動脈として位置付ける」と要約している。

このローレンシアン学派とステイプル理論とこれら二つの方法論を採用する学究グループとしてのトロント学派との三つの主柱をもつインニス経済史学こそ、カナダ人による、カナダの、カナダ人のための近代史学、国民主義的史学の成立を意味するものといえる。

(杉本公彦)

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